ローフの繰言
65年程前の事。
春の蒔き付け時期に小学校でも農休日があった。
家業が農業と言う事で、子供の頃から農作業の手伝いは当たり前の時代でもあったが、
当時も子供は子供。
生活の糧を稼ぐのに一生懸命の大人たちを見ていても、自由に遊びたかった。
その日も朝から農作業が始まる。
初めの内は一生懸命なのだが直ぐ飽きて来る。そうすると「フミが来てくれて大助かりじゃ。」とか「晩ごはんは、ぼた餅でもばあちゃんに作って貰おうか」
或いは「この前◯○のおばちゃんがお土産に持ってきて仏壇に供えてくれた千秋庵のお菓子、下げて来たでな、あそこ迄行ったらいっぷくしょまいか。」
仕事終わりには必ず「フミのお陰でこんなに仕事が進んだ。えらかったなぁ(美濃言葉でお疲れさん)」と労ってくれる。
兎も角、声を荒げず、誉めたり食べ物で釣ったりとあの手この手を使う祖父に踊らされていた。
明治37年生まれの祖父種治は、その一服の時間によく諺(言い習わし)を使って子供に農作業の極意⁈を教えてくれた。
「秋の一日は春の七日じゃ。9月15日には早霜が来るでな」
その意味は「春は一日延ばしに農作業をやっていても何の問題も感じられんが、その延ばした一日が秋の収穫時期になると、
霜が降りて作物が全滅する事もあり、一年の働きが水の泡になってしまうでなぁ」
「他人に先んじて仕事を始める!新しい事にトライする。」
早すぎて失敗はした事はあまり無い
それにしても今年の農作業は遅れている。
足りなくなるって?
バターの在庫が2~3割減少とのニュースが流れた。
このグラフを見ても分かる通り、世界中でコロナのパンデミックに依って人流が抑制された頃から
バターの在庫が異常に膨らんでいる。そして、コロナ患者が減り始め、政府は、マスク装着も個人判断。
更にこの5月からは伝染病の2類から5類へ移行予定と、人流制限を段階的に解除されるのと機を一つにする様に
バター在庫が減少し始めている。
2021年、バターや脱脂粉乳の消費が低迷し、過剰在庫が問題化した。
生産抑制の為搾った生乳の廃棄や、一頭10万円の見舞金で搾乳牛の淘汰が行われると言うニュースが
つい最近まで流れていたが、このグラフではバターの在庫が昨年夏頃の40,000tから今年の3月には
30,000tへと急激に減少しているのが分かる。
そしてこのニュースの後段では、これから夏に向けて飲用牛乳の消費増大や、年末のケーキ需要期には
生クリーム、バターが足りなくなる恐れがあり、既に出荷調整をし始めた乳業メーカーも現れているとの事。
農業、とりわけ酪農は、乳牛の乳房に蛇口を取り付けて開閉するように小回りは効かない産業だ。
自分が親の跡を継いで50年になるが、牛乳の需給が逼迫したり緩和に依って乳価が下げらるたり、牛乳に食紅を入れて
廃棄させられたりという事は二度三度有った。そしてまた今回だ!
何度も同じ対症療法では、酪農家は元より淘汰される牛が可哀想だ。
バターは所謂油分だ。大豆やとうもろこしから作り出すようなバイオ燃料にはならないのか。
残りの脱脂粉乳の成分の大半がタンパク質や乳糖。
炭水化物は米麦や人工肉に置き換えられないのか。
乳糖は砂糖替わり。
こう言った製品開発をして、牛乳受給緩和時には、蛇口の開け閉めではなく、
右か左かの切り替えバルブを考案したら如何か?
いくら家畜と言っても命の無駄遣いは、罰当たりな所業だ!
南無阿弥陀
ここ迄一気呵成に書き、ふと外に目を転じると、庭の桜が満開
この先何百年、安穏にサクラを愛でられるよう!
江戸時代の智慧
今朝の日本農業新聞の第一面のニュースが目に飛び込んで来た。
下水汚泥から肥料となる「リン」を抽出し、「再生リン」として「再利用」しようと言うもので、
国土交通省によると、島根県、岐阜市、神戸市、鳥取市、福岡市の5自治体が既に生産に取り組んでいるようだ。
確か自分が30代と言えば昭和50年代。つまり今から40年以上前に読んだ本の内容を思い出した。
第二次世界大戦直後には85%以上有った日本の食料自給率が当時50%を切ろうとしている時期でもあったが、
自給率の低下イコール食糧輸入量の増大による弊害という事が書かれていた。
つまり我々の食料はN.P.Kプラス微量要素で構成されていて、国内での循環を超えてこれらN.P.Kが日本国内に過剰蓄積されると、
公害や河川、海の富栄養化を招く事になると警告していた。
昨年十勝や日高沿岸で赤潮が大発生し、甚大な漁業被害が報じられていたが、これらの元凶は過剰に豊かになった人類の
経済活動や生活による所、大だろう。
話しはそれたが、食料のみならず、農業の為に肥料も大量に輸入している。特に火山列島である日本は
P(リン酸)が決定的に不足している。
それら肥料成分が人間の糞便の下水汚泥から分離し再利用できるのであれば三方良しである。
つまり日本人の糞便の3分の2は海外産の食料からなっているからである。
その糞便を再利用できる。
そして赤潮などの漁業被害も防げる。
江戸、明治までは糞便が肥料として取り引きされていたそうだ。特に大名屋敷や大店から出る糞便
は、粟稗の飯と味噌汁にたくあんくらいか食べていない下町の糞便より高く流通していたそうだ。
更には、同時代のヨーロッパや朝鮮などは糞便が街中に溢れていたそうだが、日本では
大事な肥料として取り引きされ、最大の循環環境に有り、結果的に100万都市江戸でも衛生環境は最高だった。
近頃、とってつけた様に、sustainableを呪文のように盛んに唱えているが、日本人は400年も前から循環と持続可能な社会経済を実践していたのだ。
資源小国日本は江戸時代の知恵に学び、あらゆるものを再利用すべきである。
マイルストーン
拡張型心筋症を患い、余命宣告された6年前、我が人生最初で最後のマイカーを購入した。
71年の人生を振り返って見ると、トラクター7台は自分名義で24時間365日いつでも
制限無く乗れたし、ファームダンプ2台と軽トラも自由に乗れた。
しかし乗用車となると、オヤジ名義、家内名義、息子名義に嫁名義ばかりで、自分が自由に出来る
車は持った事が無い。
さて会議などスーツで出かける事もまゝあったが、空いて居ないと軽トラが愛車だった。
ここまで、人生の恨み節では無い。
自分にまで乗用車を持つ甲斐性が無かったのと、それ以上に贅沢品を持つ趣味が無かっただけだ。
さて60才半ばを越えて人生最後の贅沢とばかり手に入れたその車が今月の札医大受診の帰り道、国道274号線の樹海ロードを走行中、
積算走行が100,000kmを超えた。
札幌から96kmを示す所で99,999kmになったので安全な路側に停車し、取り敢えず記念撮影
扨、あと1キロでジャスト10万キロだが、安全に停車出来るところは⁉︎
おお、トイレも備わっている休憩用駐車場が、あるじゃないか!
記念すべき100,000km。
先月24日、この車で阪大病院の澤先生に会いに旭川まで出かけた。
この車で月一の札医大受診は元より、北海道の全ての海岸線も走り抜いたし、各地の温泉も巡った。
本当にお世話になりっぱなし。
200,000km目指して元気で我々を連れ回してくれ!
温暖化?
庭の辛夷が咲き始めた。
市内では2〜3日前から桜も咲き始めているようだ。
足元に目を向けると
チューリップが一輪
水仙は花が揃い始めている
ボケも花芽が色付いているが、寒くて足踏みか?
何れにせよ、早い!
地球温暖化?