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2024年12月25日(水) 06:10

記憶と符合

今朝(2024.12.25)の業界紙2面、「農政の舞台裏」から
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「飲用乳価の潮目」
「量販店 安売りが契機」と小見出しが目に刺さる。
1982年の事。
スーパーの巨大なバイイングパワーや販売力によって牛乳が「目玉商品」として安売りされるようになってきた。
ダイエーの中内社長は「原価を割って安売りしていない。不当廉売には当たらない。
われわれに安く持ち込むメーカー側に問題があるのではないか。われわれは損はしていないし、
消費者とっては安い方が良いだろう。」と答えたそうだ。

その頃、十勝酪農対策協議会総会では地元選出の国会議員を呼んで、酪農家の窮状を訴える場面が毎年続いた。
1980年代後半の事。
窮状を訴える酪農家に対して、十勝管内足寄選出の代議士S氏は「今や酪農は守られる時代では無くなった。
国際競争力をつける為乳価も下げるべきだ。でなければ、日本酪農は生き残っていけない。」と言い、
安い餌を海外から輸入し、規模拡大などスケールメリットを生かすような経営努をすべきだ、とも

その通り時代は進み、結果、輸入飼料は高騰して経営が悪化して離農が相次ぎ、つい先ごろ一万戸を割ってしまった。

酪農と乳価について、当時ニュースにも取り上げられていた。
記憶では、取材を受けているスーパーのバイヤーが「少しでも安い食料品を提供するのが
我々の使命で、牛乳も例外ではない」と話していた事を今でも鮮明に覚えている。

安く売っているのはメーカーだろうと居直るダイエーの中内社長、
少しでも安い物を提供するのが我々の使命と、買い叩いている事を言外に匂わせているスーパーのバイヤー。
そして海外の製品と対抗できる様な安価な価格形成が必要と言い張る代議士。

消費者は元より小売りや、農業地帯選出の代議士こぞって安価な食料をと言う時代。

そんな酪農を取り巻く環境を、自分は注視していた。
その頃から読書傾向が、農、食、環境、歴史や地政学まで目に付くまま買い込み読み進めるようになった。
そんな時出会った言葉が「宇宙船地球号」だ。
人類の住む地球は、唯一無二の存在で、「この宇宙船地球号に乗っている者全員がクルーで乗客は1人も居ない」と言う言葉に圧倒された。
まず農業を続ける事が、自分に出来る社会貢献。加えて「持続可能(サスティナブル)な農業を実現するには消費者の共感、協力が必要」ではないか。

その結実が1991年(平成3年)、「ミル(見る)キングパーラー」の建設だった。
その結果、安心安全な農業、再生産可能な農産物価格などに興味を持つ消費者の如何に多い事か、知らされた。
大勢の消費者から広瀬牧場の牛乳乳製品を飲みたい、食べたいの声を受けて
1999年(平成11年)、ジェラートショップ「ウエモンズハート」を開設。
初年度から4万人を超えるお客様を迎える事となり、食への関心の高さを窺い知る。

時は移り、大言壮語の中内社長率いるダイエーは無くなり、海外の安い飼料をどんどん使って
国際競争力をつけなきゃいかんと言っていたS代議士の言う通りの農政の付けが30年後の今、
飼料の高騰で酪農家の離農が相次ぎ、結果今年とうとう1万戸を割り、牛乳の自給率も減少局面に入ってしまった。

消費者の支持を受けている広瀬牧場ウエモンズハートは今の所、厳しくとも何とか経営が続けられている。

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