朝を、迎えに来た。
特発性拡張型心筋症と診断され、同時に後5年と言う余命宣告を受けたのが9年前、62才の時だ。
あれから幸運が重なり昨年12月、阪大病院の宮川先生から「心臓の状態は安定しています。この状態を
続けられれば、一般的に言う平均寿命までは大丈夫ですね。」と言って頂いた。
しかし、無理したら絶対ダメ、命、縮めますよ。と言われ続けて来た結果、生来の怠け根性か習い性なのか
農作業や庭いじりなどは全くと言っていいほど手を出さなかった。
それが今回やむに止まれず、ガボチャを栽培する事になった。
ジェラートに使うカボチャが年内に在庫切れになりそうとのスタッフの声から、一念発起したのだ。
昨日「えびすカボチャ」の種を仕入れて来た
そして夜の帷が上がろうとしている午前3時起床。着替えてカボチャ畑に向かう。
その間にも東の空がズンズンと明るくなり、地面近くは朝靄が這っている。
こんな風景も懐かしさを覚えるくらい見ていない。
そして、手でふた粒ずつタネをまいている内に朝日が顔を出してきた。
「おお文彦、今朝はお前に負けたナ。昔はよく早起きを競い合ったもんだが、随分ご無沙汰じゃった。
これから又、早起きの競争したいもんじゃ!」などと声が聞こえて来そうだ。
「誠、清々しい!」