半世紀
昨日はオレの誕生日。
ウエモンズハートのスタッフからのお祝い
夕食はしゃぶしゃぶパーティ。孫たちに一輪ずつのカーネーションももらう
バースデーケーキのロウソク火を一吹き消すのも手伝ってくれた
幸せな1日だった。
閑話休題
その夕食時、息子が「先日往診に来た獣医が、広瀬さんとこの牧場の冠名はliberty hill farmと言うけど、広瀬牧場の東側の一角が
帯広市自由が丘と言う住所なのでその町名に因んで名付けたのかって聞いて来たんだ。そこでオヤジに聞いた記憶は帯広市の町名変更以前かららしい、
と答えておいたんだけど、間違いない⁉︎」と聞いて来た。
オレは何の逡巡も無く胸を張って「勿論さ」と答えておいた。
思えば我々が後継者となった昭和40年代は、牧場環境も綺麗で家畜を家族同様に扱う米、加の酪農がモデルで憧れたものだった。
その牧場達の殆どが冠命(愛称)を付けていた。例えば、ローマンデール、ラウンドオーク、ハノーバーヒル、ラングエーカースなどなど」
オレも随分考えたのだが思い浮かばず取り敢えず広瀬牧場の看板は上げた。
当時何とか親父のくびきから逃れたい一心で日々働いている中で、「自由」と言うキーワードが常に頭の中にあり
それを冠名に入れたいとは思っていた。
高校時代の和英辞典で自由を見てみると、リバティ、フリーダム、アウトローなどが出て来た。
その中でlibertyは歴史や社会ルールを守りながら且つ自由を作って行くと言う様な意味と知り、
意味のスマートさに惚れ込んだ。
つぎにhillは言わずもがな。オレ達の居住している場所は旧帯広市では唯一高台になっている場所で
明治から大正期にかけては、「分監高台」と呼ばれてもいた。
つまり、自身が生まれ育った運命(くびき)から逃れられないのならせめてオヤジからは離れた自分の牧場にしたいと言う意味のリバティと
居住地の地形に由来するヒルを組み合わせたものだ。
この冠名は何処に登録されている物ではないのだが、そうと決めると同時に広瀬牧場で生まれる全ての牛をホルスタイン登録協会に登録の際、
このliberty hillを頭に付けるようになった。
今でもこの冠名を息子は使っているようで嬉しい。
50年近く前、命名当時のオレの心情を知らない様だし、夕食時、老父を前に説明する話しでも無く、
言葉は飲み込んだ。