2021年6月14日(月) 05:31
日々のこと
ザワワじゃないよ、たわわだよ
我が家の庭のコデマリが今満開だ。
現在94才の老父が、自分の母親の命日に必ず咲く花として、大事にしているものだ。
時は昭和20年6月19日。今から76年前の大東亜戦争(第二次世界大戦)の敗戦直前事だ。胃潰瘍が元で亡くなったのだが、未だ39才と言う若さだった。現在ではきちんと投薬、療養すればいずれ完治する病気で、亡くなるなど考えられない事だ。父曰く、当時は戦時経済で、生活物資や食料は配給制。満足な医療など受けられ無い時代。
つまり「時代に命を奪われた」のだ。床の間で家族を見守っている39才のシズばあちゃんの遺影。
当時は我が老父も満18才で東京に遊学中。神田の湯島に住んでいて、3月10日の東京大空襲で木造の家屋が燃え盛る中、逃げ惑いつつ一命を取り留める。徴兵検査も甲種合格。12月の入営を待つばかり。そんな初夏の6月19日「ハハキトク スグカエレ」の電報を受け取ったのだ。
馬と人手に頼る当時の農家に取って18才と言えば、重要な担い手なのだが、家族の勧めが有ったとは言え、東京に遊学。
口には出さないけれど、苦労をしている母親の手助けなど全く出来ない内に無くしてしまい、後悔してもしきれない人生だった様だ。
そんな母親の死を毎年思い出させてくれるのがこのコデマリで、老父は「シズばあちゃんの木」と名づけ、咲くのを楽しみにしているのだ。
シズばあちゃんはどの花かな
きっとこの花だ。