遠い記憶
ウエモンズハートの裏庭では、クワの実が食べ頃を迎えている。
3.4粒摘んで口の中にに放り込むと、ほんのり甘く幼少期を思い出す。
12号道路を挟んで我が家の東には、佐々木さんと言う農家が有った。そこには9人兄妹の最後の3人のまっちゃん、タイちゃん、そして京子はオレと年が相前後して良く遊んだものだ。その佐々木さんの小さな馬小屋の前には、大きな⁈クワの木があり、遊び疲れ腹が空くとそのクワの木にてんでに登り、クワの実を次々と頬張ったものだ。
これは昭和30年前半の記憶だと思うけど、産めよ増やせよの戦時中から戦後のベビーブーム時代で、農村部には子供が溢れていた。
イチゴ、グスベリ、クワの実、オンコの実、すもも、ヤマブドウ、コクワ、スッカンコ、果ては野菜のトマト、キュウリ、マクワウリ、畑ではだいこん、ニンジン、鶏小屋からは産みたての卵を殻に小さな孔を開け卵を飲み込んだり...
今考えると、その頃の子供達は野山の幸をふんだんに漁っていて、現在インドからパキスタンを悩ませてせいるイナゴの大群が襲来した後のような惨状を呈していた、かも⁈そんなに酷くはないか。しかし今で言うアトピーや食物アレルギーなども殆ど聞いた事も無く、所謂野生児だったんだなぁ!
近くに聳えているトド松にはキツツキが開けた孔が沢山ある。
一つひとつは結構大きな孔だ。残念な生きもの図鑑の中の残念な生き方の項に載っていた、キツツキが餌を探した跡だが、クチバシだけでこれだけの孔をあけて、この孔には何匹の虫がいたのかなぁ⁈
非効率的と言うか、頭に相当ショックを受ける作業だが、周りにはあんなにも美味しい木の実が沢山あるのに...‼︎
オレは人間でよかった‼︎