畝幅と株間
住宅階段の踊り場から見た、今朝のデントコーン畑だ。
青い空には、昨日の台風の名残りの雲がポツポツと浮かび、収穫間近のデントコーンも朝日を浴びて切り込みを待っている。
昨日の朝は台風18号の影響で雨風が強く、昨年の二の舞が心配された。
昨日逐次台風情報を見ていると、進路は秋田から渡島半島へ向かっている。
暴風圏の図もえこひいきしてくれている様に十勝だけは弱い。
そして24時間。
日高山脈と大雪の内懐に抱かれている事を実感する。矢張り十勝は守られている。
5か月丹精込めた結果。収穫を待ち侘びて、台風にもめげず皆きちんと勢揃い。
思い出す。
三男が小学二年生だったので四半世紀余り前の事だ。
担任の成瀬先生に、ひと夏学童農園でトウモロコシを栽培し収穫祭を開く計画なので、トウモロコシの先生役を依頼された。
物心ついた頃には飼料用トウモロコシを栽培しており、農業高校では「飼作」という授業も受けた。詩作では無く思索でも施策でも無いし、試作の間違いでも無い。純然たる飼作。つまり飼料作物と言う専門の授業を受けた。そして家業の酪農を継ぎデントコーンの栽培も毎年やっている。オレはトウモロコシ栽培のプロを自認していたので、二つ返事で引き受けた。
しかし、如何にプロとは言え専門用語を使わずに小学二年生に伝えるのは至難の技だった。
特に作物を栽培するのには、畝の巾と株の間隔がとりわけ必要だ。
授業当日までこの説明の方法は思い浮かばなかった。
そして当日。
三クラスの子供たちが整列し腰を下ろした。
100人程の子が整然と並んでいるのを見て、これがデントコーン畑だ!
縦に並んでいるのは畝で前後は株に見えた。
そして子供達自身の並ぶ姿に例えて、畝幅、株間の説明をしたっけ!
会心の授業だった。