牛たちは、我々酪農家に飼われています。
彼女たちは、飼い主が決めた場所に住み、与えてくれる餌を食べ水を飲みます。そしてそこには、いつもキレイなワラが敷かれ、欲しい時にいつでも飲み、食べることができれば、元気でたくさんお乳を出してくれます。
酪農家が自分事を優先するとお乳は出なくなり、病気になって死んでしまいます。良い牛になるのも悪い牛になるのも飼い主次第なのです。
このように私たち酪農家はいつでも牛の気持ちに寄り添っています。そうすることで牛たちもそれに応えて私たちの生活を保障してくれるのです。
更に言うなら...牛たちは「私たちに社会生活のあり様を教えてくれる先生」でもあるのです。
「コーヒー牛乳は牛にコーヒーを飲ませたら出るの?」
こんな質問が東京の小学6年生の男子から舞い込んだのは、牛飼いを自覚しはじめた20才代前半の事です。
また「乳牛はお乳を出す動物なのだから年頃になってお乳が膨らんでくると、牛乳が出るようになるんでしょ!?」と質問してきたのは、長男が通う小学校のお母さん方でした。
高度に分業化された文明社会の盲点である生産者と消費者の乖離。牛の生活や牛乳の搾られる現場を見て、自然や食・いのちの大切さを肌で感じてもらいながら、牛乳物語の始まりを学んでもらおう」と考えつきました。
そして1991年、繋ぎ飼いからフリーストールに飼養方法を変えた事をきっかけに、牛舎や搾乳室、乾草庫やトラクターなどの大型機械、牧草畑や防風林など農場の全てを教室(フィールド)として消費者交流を始めました。
この「伝えたい」という思いや取り組みは、地元の小学校をはじめ、帯広市役所から道庁や農水省、JA、乳業メーカーなどを通じてすぐに口コミで広がりはじめました。
数年を経ずして「牧場に行ってみたい」「牛や広い牧草畑を見てみたい」あるいは「牛乳ができるまでを知りたい」という方々の来訪が引きも切らなくなってきました。更には「広瀬牧場で搾られた牛乳や乳製品を食べてみたい」という声もどんどん寄せられるようになったのです。
牧場見学体験での五感(見る、触れる、嗅ぐ、聞く、味わう)の最後の(味わう)を満たすため、広瀬牧場のかあちゃん(眞由美)は「自分たちが搾った生乳を使って美味しいものを食べさせてあげたい!」という想いから東京、遠くはイタリアまでアイスクリーム作りの修行に出かけ、ついに1999年、その夢を叶えたのでした。
かあちゃんのこだわりは、新鮮なものを食べていただくことでした。そのためには広瀬牧場の新鮮な生乳を低温殺菌(68℃30分)し、毎日作りたての手作りジェラートを提供することにしました。
フレーバーの材料となる果物や野菜・豆類は、自家生産物や十勝や道内産の無農薬・有機栽培のものを使いました。また遠くは周防大島や鹿児島などの知人からも取り寄せをし、季節を味わえるジェラートを丁寧につくったのです。
これが「かあちゃんのオモテナシ」です。
豊かな自然の中で、新鮮で質の良いものを食べていただく。
ウエモンズハートのジェラートは、広瀬牧場に足を運んでくれる皆様への答えだと思っています。
1991年に始まった農場をフィールドとした「十勝農楽校」という"酪農教育ファーム活動"
1999年にはウエモンズハート。そして2005年には1942年から細々と続けてきた山林事業を本格化させていきました。
現在は91haにまで拡大し、広瀬牧場ウエモンズハートは『小さな家族経営の農場』でありながら、当面150haを目標にカーボンオフセットをはじめ、国土保全と水源涵養・森林造成と国産木材の自給といった社会貢献としての植林事業も一つの柱として位置付けて投資を行っています。
広瀬牧場ウエモンズハートに来ていただいている方の多くは、個人または家族単位でマイカーを利用されています。それら自動車の大半は化石燃料を使用するためCO2を排出します。そして従業員もマイカー通勤です。また酪農経営を続けて行くためにトラクターやタイヤショベルなど大型農作業機も走り回っています。
ウエモンズハートは、これらの経済活動によって排出されるCO2を削減させるための植林活動を行なう事により、地球温暖化防止対策としての社会貢献を積極的に進めています。